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PORSCHE GATEを主宰する私には、空冷ポルシェへの入口となった一台の911がある。今日はその出会いの物語を紹介したい。
関西に「日之出モータース」という空冷専門店がある。私は以前からその存在を知りながら、なぜか店の前を二度も素通りしていた。まだ縁が熟していなかったのかもしれない。
転機はヤフオクだった。状態のあまり良くない911の2.7を、約280万円で落札してしまったのだ。届いた車は決して褒められた状態ではなかった。それでも私は、初めて日之出モータースの扉を叩き、この車を持ち込んだ。
店主の第一声は今でも忘れられない。「ほんまにこの車、治すんでっか?」続けて「2〜300万はかかりまっせ」「2.7を直す人はおらんですよ」。当時、911の2.7が旧車市場であまり人気のないモデルだということを、私はまだ知らなかった。それでも「治す」という選択を止めることはなかった。
そこから始まったレストアは、単なる修理作業ではなかった。ボディは元々の色であったスピードイエローへと戻され、内外装を含めた全面的なレストアが進んでいく。工場に通っては仕上がっていく様子を眺め、店主と交わす何気ない会話を楽しみにする時間が、私にとってかけがえのないものになっていった。
面白いことに、2.7の完成を待つ間に、私はDP935ルックの一台を即決で購入してしまった。気がつけば手元には3台のポルシェが並んでいた。この頃から強く惹かれるようになったのが、走行に関わる部分には惜しみなく投資しながら、走行に直接関わらない部分は簡素で合理的にまとめるというポルシェの設計思想だ。
「どのポルシェが一番好きですか」と聞かれることがよくある。私の答えはいつも同じだ。「どれも良い、それぞれ違う」。それでも、あえて空冷での入口を一台選ぶとしたら964ではないかというのが、私の個人的な見解である。
この911 2.7は、単なる一台の車である以上に、日之出モータースという店との出会い、そして後にPORSCHE GATEへとつながる空冷への情熱の原点になった一台だ。
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