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レストア中の911 2.7を待てなかった話 ― DP935ルック購入記

空冷ポルシェ
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いまでも思い出すたびに、苦笑いしてしまう瞬間があります。ヤフオクで見つけた911 2.7を、関西の空冷専門店・日之出モータースに持ち込み、全面レストアをお願いした直後のことでした。元色のスピードイエローに戻すと決め、部品を一つずつ集めながら仕上げていく——その過程そのものが楽しくて、店主と交わす何気ない会話の時間も含めて、間違いなく充実した日々でした。

ところが、そのレストアがまだ完成しないうちに、私は別の個体に出会ってしまいます。DP935ルックの車両です。930をベースに、935さながらの太いオーバーフェンダーをまとったその姿を見た瞬間、迷う余地はほとんどありませんでした。気づけば契約を交わしていて、手元のポルシェは3台に増えていたのです。

「治すと決めた車の完成も待たずに、次の車を買ってしまう」。傍から見れば衝動的に映るかもしれません。でも自分の中では、これは矛盾していないのです。これまで乗り継いできた旧車・趣味車は、生涯で50台を超えます。991ターボSに始まり、911 2.7、964カブリオレ、930ターボを複数台、DP935ルック、986ボクスターやケイマン、944ターボ、914、356B、993クーペ、928……。一台に固執するのではなく、そのときどきで惹かれた個体と真剣に向き合ってきた結果が、この台数なのだと思います。

その根っこにあるのは、私がポルシェというブランドに感じている魅力です。走行に関わる部分——エンジン、サスペンション、ブレーキといった機構には一切妥協せず投資する。その一方で、内装や快適装備といった走行に関係しない部分は、驚くほど簡素で合理的にまとめられている。この思想に惚れ込んでいるからこそ、多少荒れた個体でも「走行系さえ手を入れれば本質は取り戻せる」と確信を持って手を出せる。DP935ルックのように外観のインパクトが強い車でも、判断の芯にあるのは変わらずこの一点でした。

「どのポルシェが一番好きですか」とよく聞かれますが、私の答えはいつも同じです。「どれも良い、それぞれ違う」。911 2.7には2.7にしかない軽さと素性の良さがあり、DP935ルックには930譲りのターボの力強さと、外観が語るドラマがある。優劣をつけるという発想そのものが、空冷ポルシェの楽しみ方には馴染まないのかもしれません。

レストアの完成を待てずに、次の一台へ手を伸ばしてしまう。そんな失敗談のようなエピソードの中にこそ、空冷ポルシェという沼の本当の深さが表れているのだと思います。


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