今日は2件、空冷ポルシェの購入について「悩み相談」を受けた。奇しくも同じ日に、同じテーマで2組のお客様とお話しすることになった。
詳しくなりすぎたご夫妻
1組目は、ご来店いただいたご夫妻。空冷ポルシェが欲しくなり、色々調べているうちに「変に詳しく」なってきた方たちだ。エンジン、ミッション、型式まで、そこそこ詳しい。運転したことも無いのに、Kジェトロがどうとか、G50ミッションがどうとか……。
私からすれば、それらは「進化の過程の産物」でしかない。ポルシェ社がそれを良しとしなかったから、次の形へと変わっていっただけの話だ。911は未だに完成形とは言えず、これからも進化し続けるのだと思う。その過程で生まれた「違い」が、いつしか味になり、良し悪しで語られるようになるのだろう。
ご夫妻は930最終の3.2カレラが欲しいが、高いし維持費も心配だとおっしゃる。私の主観はお伝えしたが、こういう方は結局、人の言うことは聞かないものだと分かっている。
997から空冷へ、悩めるオーナー
2組目は997型の911をお持ちで、空冷の911に買い替えるかどうかを悩んでいる方。こちらもやはり、維持費とこれからの相場の動向が気になるようだった。
私からは「997に不満が無いなら、大事に乗り続けてあげてほしい」とお伝えした。
悩んでいるうちは、買わなくていい
はっきり言ってしまえば、悩んでいるうちは買わなくていいと思う。
心配していることの多くは、空冷を愛している人間から見れば「楽しみの一部」だ。オイルが漏れやすいとか、クラッチが無くなるとか(クラッチに関しては都市伝説の部分が大きいが)。エアコンが効かないというのも、それこそが空冷の醍醐味だと思っている。
真夏に電動エアコンまで後付けして、空冷エンジンの車に乗って油温も見ずに走ったら、そりゃあエンジンは焼き付くだろう。快適さを求めるなら、新しい車に乗ればいい。
それでも、なぜ空冷が好きで手放せない人がこれだけ多く存在するのか。何にも代えられないものがそこにあるからだと思う。それは、カタログや雑誌、動画では絶対に伝わらないと確信している。
ナロー、2.7、SC、3.2、964、993──迷ったらどれでもいい
空冷だけを見ても、大きく分けてナロー、2.7、SC、3.2、964、993とあり、その中でもさらに細分化されている。だが、初めて空冷に乗るなら、正直どれでもいいと思う。それぞれに、それぞれの良さがあるのだから。
「あの時買っておけば」という後悔について
2024年、2026年現在も中古車価格は高騰していて、正直買いにくい状況だ。ただ、もしこれが安く買えるものだったら、みんなそんなに欲しがらなかったのではないかとも思う。
「あの時買っておけばよかった」とよく言われるが、それは株と同じ考え方ではないだろうか。今でも昔の値段で買えるなら、そもそも空冷ポルシェを欲しいと思わなかったかもしれない。手が届きそうで届かないから、欲しくなる。そんな人が多い気がしている。
リセールで車を選ぶのは、ファミリーカーだけでいい
リセールやお買い得感で車を選ぶのは、ファミリーカーだけで十分ではないか。せっかく買うのなら、どうなるか分からないリセールより、本当に欲しい車を買うべきだと思う。
空冷の911は、間違いなく一生付き合っていける愛車になる。全損でもしない限り、車が駄目になることは無い。1963年の発売から、911は7割が現存しているという。それだけ大事に扱われてきた車が、他にどれだけあるだろうか。
もう一つ言うなら、ポルシェファンには「増車」する人が異常に多い。私も含めて、だ。それだけ愛着が湧いて、手放せなくなるということだと思う。
「安くて良い車」は、宝くじに当たるようなもの
中古車で本当に程度の良い車は少ない、というより「無い」と思ったほうがいい。市場に出る前に買い手が決まってしまうし、旧車のことが分からない人には売りたくないと思う所有者も多い。本当にありとあらゆる部分に手を入れようとすると、とても高額になる。安くて良い車は、宝くじに当たるようなものだと思っている。
ポルシェゲートの車両も、常に修理している。それが、私にとっての楽しみでもある。ただし、この苦労は楽しめる人でないと、ただの苦痛でしかないだろう。
まずは、乗ってみてから判断してほしい
私は、レンタルしたお客様が少年のような笑顔になって帰って来られる、それだけで幸せだ。
どちらにしても、せっかくポルシェゲートがあるのだから、まずは乗ってみてから判断されることをお勧めしたい。

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