毎年8月、アメリカ・カリフォルニア州モントレー半島で開催される「モントレー・カーウィーク」は、世界中のクラシックカーオークションが集中する一大イベントだ。ここでは近年、空冷世代のポルシェ911、なかでも930ターボのような個性的なモデルが高値で落札されるニュースが続けて話題になっている。コンクール・デレガンスやオークションハウスの取引結果が国内外のメディアで取り上げられるたび、「空冷ポルシェは資産」という言葉を目にする機会も増えてきた。
モントレー ポルシェ オークション 高額落札の背景
空冷ポルシェの評価が上がっている背景には、生産終了から数十年が経ち現存する良質な個体が年々減っていること、そしてポルシェというブランドが持つ機械としての完成度への再評価がある。930ターボはターボチャージャーによる過給という当時としては挑戦的な技術と、ホイールアーチの張り出したワイドボディが組み合わさった、空冷時代を象徴する一台だ。オークションでの取引は「今のうちに」という心理も後押しし、価格はさらに動きやすくなっている。
資産価値の上昇が、所有へのハードルを上げている
ただし、こうした値上がりは手放しで喜べる話ばかりではない。これから空冷ポルシェの世界に触れてみたいという人にとって、車両価格そのものが上がることは、購入という入口を遠ざけてしまう。加えて経年車ならではの維持や整備の負担もあり、「欲しいけれど手を出しにくい」と感じる人は少なくないはずだ。ポルシェという車は本来、走行系にしっかり投資し、内外装は簡素で合理的にまとめるという思想でつくられてきた車でもある。その走りの本質は、必ずしも高値で取引される個体だけが持っているものではない。
「所有しない」という選択肢 ― PORSCHE GATEという場所
PORSCHE GATEは、空冷ポルシェを購入して所有するのではなく、会員としてさまざまな個体に乗る機会を持てる場所として運営している。930ターボのような個性の強いモデルも、購入のハードルを超えなくても実際にハンドルを握り、その乗り味を確かめられる。もともとこの取り組みは、手元にある車を自分だけで眺めているのではなく、誰かに実際に乗ってもらいたいというシンプルな思いから始まった。オークションのニュースで価格ばかりが語られる空冷ポルシェを、値札ではなく走りの記憶として体験してもらえたらと考えている。
実際にPORSCHE GATEを訪れた会員からは、「主人がこんなに笑っているのを初めて見た」という言葉をもらったこともある。レンタルという仕組みはあくまで入口で、その先にあるのは仕事や年齢を離れて車という趣味でつながるコミュニティだ。値上がりを続けるオークションのニュースを眺めながら「いつか買えたら」と憧れるだけでなく、今この瞬間にハンドルを握って空冷ポルシェの魅力を確かめられる場所でありたいと考えている。
会費は月額110,000円(税込)、年額プランは1,320,000円(税込)で、入会金は0円。満25歳以上かつ普通免許取得後5年以上の方が対象で、運営は株式会社ドリームゲートが行っている。車両価格の値上がりというニュースを他人事にせず、実車に触れる機会そのものを持ち続けられる場でありたい。
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